変形性肩関節症(へんけいせいかたかんせつしょう)は、肩関節の軟骨が摩耗し、骨同士が直接擦れ合うことで痛みや運動制限が生じる疾患です。
加齢や過度の使用、外傷などによって引き起こされることが多く、肩関節の構造が変形することで、慢性的な痛みや可動域の低下が発生します。
加齢:加齢により関節の軟骨が自然にすり減り、関節のクッション機能が低下します。
過度の使用:肩を頻繁に使用する仕事やスポーツ(野球、テニスなど)による長年の負担が、関節の摩耗を加速させます。
外傷:肩の骨折や脱臼などの外傷後、関節の変形が進行することがあります。
肩の炎症や疾患:関節リウマチや肩の腱板断裂に伴う肩関節の変性も原因となることがあります。
肩の痛み:初期段階では運動時に痛みを感じ、進行すると安静時や夜間にも痛みが出ます。
可動域の制限:肩の動きが制限され、腕を上げたり、回したりすることが困難になります。
関節のこわばり:朝起きたときや長時間同じ姿勢を取った後に関節が硬くなることがあります。
関節の音:関節がすり減って骨同士が擦れるときに「ゴリゴリ」という音がすることがあります。
保存療法:初期の治療は、痛みを軽減し、炎症を抑えるために薬物療法(鎮痛剤、抗炎症薬)やリハビリテーション、物理療法(温熱療法、アイシング)などが行われます。また、適度な運動や肩のストレッチを取り入れて、関節の可動域を維持することも重要です。
関節注射:ヒアルロン酸注射やステロイド注射を行うことで、関節内の炎症を抑えたり、滑りを良くしたりします。
手術:保存療法が効果を示さない場合、関節鏡手術や人工肩関節置換術(肩関節の一部または全体を人工関節に置き換える手術)が行われることがあります。
変形性肩関節症は進行性の疾患であり、早期の診断と適切な治療が関節の機能を維持するために重要です。