近鉄東寺駅前の京都整形外科 肩スポーツクリニック(京都肩スポ KSS)

内側上顆骨端核裂離

内側上顆骨端核裂離とは?

内側上顆骨端核裂離は、肘関節の内側にある内側上顆(上腕骨の一部)で、成長期の子どもや青少年によくみられるスポーツ障害です。主に野球の投球動作やテニスなどの繰り返し行われる腕の投げる動作による過負荷が原因で発生します。この状態は、「リトルリーガーズエルボー」としても知られています。

発生の仕組み

内側上顆は、肘を安定させる内側側副靭帯や手首を曲げる筋肉群(屈筋群)が付着する部位です。成長期では骨端核と呼ばれる軟骨部分が骨化中のため、繰り返しの投球動作などにより過剰な牽引力がかかると、この部分が剥離したり、裂離することがあります。

原因

繰り返しのストレス:野球のピッチングや投げ込み動作。テニスやバレーボールなどの腕を酷使するスポーツ。
急激な力:短期間での過度な負荷(試合や練習量の急激な増加)。
不適切なフォーム:投球やスイングのフォームが悪い場合、肘に過度な負担がかかる。
成長期特有の骨構造:成長軟骨がまだ未熟なため、耐久性が低い。

症状

痛み:肘の内側に鋭い痛みや鈍い痛みが現れる。投球後やスポーツ後に痛みが増す。
腫れ:肘の内側に軽度から中等度の腫れが見られることがある。
握力低下:肘の痛みにより手や腕の力が弱くなる。
可動域制限:肘を完全に曲げたり伸ばしたりするのが難しくなる。
慢性化:放置すると慢性的な痛みや変形が残ることがある。

診断

問診と身体検査:痛みの部位や発生状況、スポーツ歴を確認。内側上顆周辺の圧痛や腫れの評価。
画像検査(X線):骨端核の裂離や剥離の確認。骨端核の拡大や変形が見られることがある。
画像検査(MRI):軟部組織や靭帯の損傷評価。
画像検査(超音波検査):動的な評価や裂離の詳細確認に使用される場合もある。

内側上顆骨端核裂離

治療-保存療法(軽度~中等度)

安静:スポーツ活動を中止し、肘にかかる負荷を避ける。
アイシング:痛みや炎症を抑えるために冷却を行う。
装具の使用:スプリントや肘サポーターで肘を固定。
リハビリ:肘や肩の柔軟性を回復し、筋力を強化するプログラム。
投球制限:ピッチカウントの管理や投球フォームの改善。

治療-手術療法(重度または保存療法が無効な場合)

骨端核の修復:骨片が大きく剥離している場合、外科的に元の位置に固定。
靭帯の再建:内側側副靭帯の損傷が重度な場合、再建術が行われる。

回復期間

軽度:数週間~1か月程度で競技復帰が可能。
中等度:2~3か月程度のリハビリが必要。
重度:手術後、完全復帰まで6か月以上かかることがある。

治療-保存療法(軽度~中等度)

適切なフォーム:投球動作やスイングの正しいフォームを習得する。
負荷管理:投球数や練習量を適切に管理。
筋力トレーニング:肘や肩周辺の筋力を強化する。
柔軟性の向上:ウォームアップとクールダウンを徹底。
休養の確保:適切な休息日を設け、疲労を蓄積させない。

注意

成長期の肘障害は放置すると長期的な障害につながる可能性があるため、痛みが持続する場合は専門医の診察を受けることが重要です。