内側上顆骨端線離開成長期の子どもや青少年に見られる肘の内側(内側上顆)の障害で、骨端線(成長板)の部分で骨が過度な牽引力や圧力によって引き離される状態を指します。この障害は、特に野球のピッチングやテニスのサーブなど、繰り返し腕を酷使する動作によって発生します。リトルリーガーズエルボーの一形態として分類されます。
内側上顆は、肘を安定させるための内側側副靭帯や前腕の屈筋群が付着する部位です。成長期の子どもでは、この部位に骨端線(成長板)が存在し、まだ完全に骨化していないため、外力に対する耐久性が低くなっています。過剰な牽引や反復ストレスが加わることで、骨端線が引き離される(離開する)ことがあります。
繰り返しのストレス:野球の投球動作やテニスのスイングなどの反復運動。
急激な負荷:急なスピードアップや試合での投球過多。
不適切なフォーム:投球やスイング時に肘に過剰な負荷がかかるフォーム。
成長期特有の弱さ:骨端線が未熟なため、大人よりも耐久性が低い。
内側肘部の痛み:特に投球やスイング後に鋭い痛みが発生。
腫れ:内側上顆周辺が腫れることがある。
圧痛:内側上顆を押すと痛みが強まる。
可動域の制限:肘を完全に曲げたり伸ばしたりするのが困難になる場合がある。
慢性的な違和感:初期の段階では鈍い痛みや違和感が続く。
問診と身体検査:症状の経過やスポーツ歴を確認。内側上顆周辺の圧痛や腫れを評価。
画像検査(X線):骨端線の離開、拡大や不整を確認。
画像検査(MRI):軟部組織や靭帯の損傷が疑われる場合に実施。
画像検査(超音波検査):骨端線の状態を動的に評価。
安静:スポーツ活動を中止し、肘を安静に保つ。
アイシング:痛みや腫れを軽減するために冷却。
装具の使用:スプリントや肘サポーターを装着して肘の安定性を確保。
痛み止め:非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用。
リハビリ:徐々に柔軟性と筋力を回復させるトレーニング。
骨端線の修復:骨端線が著しく離開している場合、手術による固定が必要となる。
内側側副靭帯の再建:靭帯の損傷が重度の場合、再建術が行われることがある。
軽度:1~2か月程度で回復。
中等度:2~3か月のリハビリが必要。
重度:手術後、6か月以上のリハビリ期間が必要になる場合がある。
正しいフォームの指導:投球やスイング時の肘の負担を軽減する動作を習得。
投球制限:ピッチカウントの厳守や休養日の確保。
筋力トレーニング:肘周辺だけでなく、肩や体幹の筋力を強化。
ストレッチと柔軟性の向上:投球前後のストレッチで筋肉や靭帯を保護。
成長期の管理:成長期の骨や関節の負担を考慮した練習計画。
症状を放置すると、慢性的な肘障害や関節の変形につながる可能性があります。痛みが持続する場合や運動が困難な場合は、早めに専門医の診察を受けることが重要です。